GitHubで公開2日で222スターを獲得したCLIツール「tokentab」が、Claude Code、codex、Gemini CLIのセッションログを横断集計し、AI利用料を丸裸にする。エンジニア視点で言えば、これはコストの可視化ではなく、AIコーディング支援を「経費」から「投資」へ格上げするための計測インフラだ。
何が起きたか
wzchav氏が公開したOSS「tokentab」が、GitHubのトレンドを駆け上がっている。公開からわずか2日で222スター。機能は極めて明快で、ローカルに残るClaude Code、codex、Gemini CLIのセッションログを読み込み、モデル別・プロジェクト別にトークン消費量とコストを算出するコマンドラインツールだ。
背景にあるのは、AIコーディング支援ツールの月額請求が「なぜこの額になったのか」を説明できない現場の急増である。Claude Codeは利用量ベースのAPI課金、codexはChatGPT Plus/Businessに含まれる従量、Gemini CLIは無料枠と有料枠が混在する。3ツールを併用する開発チームでは、請求書とアウトプットの相関がまったく取れなくなっているのが実情だ。tokentabはこの3種を1画面に集約する、いわば「AI版のAWSコストエクスプローラー」を目指している。
なぜこのニュースが重要か
エンジニア視点で刺さるのは、このツールがセッションログというローカル資産を突いた点だ。Claude Code、codex、Gemini CLIはいずれも実行履歴をJSONまたはJSONLでローカルに保存している。つまり課金APIを叩かずとも、クライアント側のログだけでコストを再構成できる。これはFinOps文脈で言うところの「シャドーIT対応」に近い。IT部門が把握していない個人契約のcodexやClaude Codeでも、開発者PCのログさえ集めれば按分計算が可能になる。
もう一つ重要なのは、codexが検索ボリューム月間8万、Claude Codeが19万という現在の関心度の高さだ。両者を併用する開発者が主流化しており、「codexは仕様策定に強い、Claude Codeはリファクタに強い」といった使い分けが定着しつつある。となれば、どのタスクにどのモデルを投入したかを事後計測できることは、単なる経費管理ではなくモデル選定のエビデンスになる。感覚論で「Claudeの方がコスパいい」と言っていた議論に、初めて数字が入る。
codexのコスト構造は何が特殊か
技術的に踏み込むと、codexのコスト計測は他2つより厄介だ。Claude CodeはAPIキー直叩きなのでinput/outputトークンが素直に取れる。Gemini CLIも同様にトークン数がログに残る。しかしcodexはChatGPTのサブスクリプション内包型であり、「トークン単価×消費量」というAPI課金モデルとは異なる実効コストの推定が必要になる。
tokentabのリポジトリ説明を読む限り、モデル別の公表単価テーブルを持ち、セッションログのトークン数から「もしAPI従量課金だったらいくらか」を逆算する方式と推定される。これは経営会議に出す数字としては十分だが、実際の請求額とは乖離する。エンジニアとしては、この乖離を理解した上で「機会コスト計算」として使うのが正解だ。仮にcodexサブスクを解約してAPI直叩きに切り替えたらいくらか、という判断材料になる。逆に言えば、サブスク定額の中でヘビーに使えば使うほど、tokentabが示す「見かけコスト」は膨らむ。数字の意味を読み違えると経営判断を誤る。
経営者として次に取るべき動き
第一に、開発チームの全メンバーPCにtokentabを導入し、過去30日分のログを集計させること。まず現状の「見かけコスト」を把握しなければ、削減も投資判断もできない。222スターのOSSに社内データを預ける不安があれば、フォークして監査すればいい。CLIツールなので数百行規模のはずだ。
第二に、モデル別・プロジェクト別のダッシュボードを週次で回すこと。codexとClaude Codeの使い分けが、感覚論ではなくコスト対アウトプットで議論できるようになる。特に長時間セッションを走らせるリファクタリング系タスクのコスト比較は、年間換算で数百万円単位の差を生む。
第三に、部門別ROI管理への移行を今四半期中に決めること。AI利用料は固定費ではなく、案件別に按分すべき変動費だ。クライアントワークをやっている企業なら、AI利用料を工数と同じく請求原価に組み込むフェーズに入った。tokentabはその第一歩の計測器である。
